令和6年4月1日から相続登記が義務化になります。

抵当権者(金融機関)が清算結了している場合の抵当権抹消手続きについて

奈良県香芝市の司法書士松井です。

先日、抵当権者(金融機関)がすでに清算結了している抵当権の抹消手続きの依頼がありました。(抹消書類はすべて紛失していました。)

そこで、今回は、抵当権を抹消するに際して、抵当権者である金融機関がすでに清算結了している場合の対処法です。

目次

抵当権抹消は誰が申請するの?

通常、抵当権を抹消する場合には、不動産の所有者(権利者)と抵当権者である金融機関(義務者)が共同して申請する必要があります。

しかし、一方の申請人である金融機関がすでに清算結了して法人が消滅している場合には、どのような手続きをすればいいかが問題になります。

結論(登記研究23号)

法人の清算結了前に債権及び抵当権は消滅しているが、抵当権抹消登記が未了である場合、旧清算人から抵当権抹消登記を申請することができる。

(登記研究23号)

解説

金融機関が清算結了して消滅しているからといって、不動産の所有者が単独で抵当権を抹消できる訳ではありません。

上記の登記研究より、法人の清算結了前に債務を完済(つまり抵当権も同時に消滅している)しているのであれば、旧清算人が金融機関の代表者として登記申請することができるとされています。

本来であれば、旧清算人は、清算結了が終わると同時に退任するため、金融機関を代理する権限はもうないと考えられるため、清算結了をやり直して再度清算人を選任し、その清算人から登記を申請すべきなのかもしれません。

しかしながら、清算結了して消滅している法人をわざわざ起こして清算人を選任し直すといった複雑な手続きをしなくてはならないとすると、あまりにも不動産の所有者(債務者)にとって負担が大きすぎます。

このようなことから、便宜上旧清算人が申請人となって抵当権の抹消手続きを行うことができるとされています。

なお、私が依頼を受けた案件では、まだ旧清算人(金融機関等の大きな企業が清算する場合には、弁護士が清算人となっていることが多いのではないでしょうか)と連絡がとれる状態であったためよかったのですが、もっと長い期間放置されている抵当権を抹消する場合には、すでに旧清算人と連絡がつかなくなっていることも想定されます。この場合には、どうすべきなのかについては、疑問が残っています。

ちなみに、旧清算人(弁護士さん)に連絡すると、多数の抹消依頼の連絡が今でも来ているということでした。仕事とはいえ、いつ終わるともしれない業務をするのは大変なことだな~と感心しました。

注意点

1.解除証書に記載する解除(放棄等)の日付については、清算結了前の日付にするようにしましょう。

2.委任状・解除証書の作成日付は、実際に作成した日付(清算結了後の日付)で問題ありません。

ローンを完済後、抹消書類が送られてきたときは、なるべく速やかに抹消手続きを行うようにしましょう。

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