現在会社法により認められている会社の形態は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4つです。
ですが、ほとんどの方が、株式会社か合同会社を選択されています。
では、株式会社と合同会社はどのように違いがあるのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか会社を設立する前に確認しましょう。
株式会社と合同会社の比較
会社の形態 | 株式会社 | 合同会社 |
特徴 | 「所有と経営の分離」 | 「所有と経営の一致」 |
公証人の認証 | 必要 | 不要 |
役員の任期 | あり(最長10年) | なし |
決算公告 | 必要 | 不要 |
設立費用 (法定費用のみ) | 約24万円 (電子定款の場合は、約20万円) | 約10万円 (電子定款の場合は、6万円) |
出資者(所有者) | 株主 | 社員 |
経営者 | 取締役 | 業務執行社員 |
認知度 | 一般的に認知されている | 株式会社と比べ認知度は低い |
信頼性 | 信頼性がある | 株式会社と比べ信頼性が劣る |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
株式会社と合同会社の違いで、もっとも異なるポイントとは?
ポイント1 初期費用
株式会社と合同会社を設立するに際して、最も違うポイントは、なんと言っても設立に際してかかる初期費用ということになります。法人を設立して事業を始めようとする場合、最も気になるポイントは初期費用ではないでしょうか。合同会社を設立費用は、株式会社の設立費用にする場合に比べて実費部分だけで約14万円程度安く押さえられます。これは、合同会社の定款については、公証人の認証が不要ということと、設立時登記にかかる登録免許税が最低6万円と株式会社(最低15万円)と比べ低額だからです。
ポイント2 維持費
株式会社の場合、役員の任期や決算公告が法律により定められており、定期的に費用がかかりますが、合同会社の場合には、役員の任期がなく決算公告も義務づけされていないためランニングコストが抑えられます。
ただし、株式会社の役員の任期は最長10年まで伸長できるため、それが大きな負担になるとはいえませんが、数年に一度役員に変更がないとして役員の変更登記をする必要があるため、定期的に必要なコストとなってしまいます。また、決算公告に関しても中小企業では決算公告をしているという話を聞いたことがないため、あまり気にする必要はないかもしれません。
ポイント3 認知度・信頼性
近年、合同会社の設立が増えてきているとはいえ、やはり認知度では株式会社にかないません。また、このことから信頼性についても株式会社に比べると劣ります。
ただし、それは合同会社が社会一般にあまり知られていないという意味であり、合同会社という理由で口座が開設できない、融資が下りないというようなことはないのでご安心ください。
合同会社に適している事業とは?
1.小規模事業
小規模事業であれば、合同会社がおすすめです。合同会社は、設備投資に莫大に費用が必要な製造業には向きません。これは、合同会社は、株式会社と違い株式を発行することができないため、資金調達の規模に限界があるからです。そのため、それほど資金調達が必要ではない小規模事業の場合には、合同会社に適しているといえるでしょう。
2.一般消費者向け(B to C)の事業
一般消費者向けの事業であれば、合同会社がおすすです。一般消費者向けのサービス(いわゆるB to C)、例えばコンビニやスーパー、カフェなどのように個人を相手に事業をする場合、会社が株式会社であるのか合同会社であるのかはあまり問題ではありません。そのため、単に法人格さえあれば良いというような事業の場合には、合同会社に適しているといえるでしょう。
3.共同事業や異業種連携
共同事業や異業種で連携して事業をするのであれば、合同会社がおすすめです。このような事業を行う場合、株式会社では、出資比率に応じて利益分配が行われるため、どうしても多くの出資金を拠出した人が利益を享受することになります。しかし、合同会社の場合、利益分配の方法を定款により柔軟に設定することができるため、お金を拠出する人とノウハウ・能力・技術を持つ人で平等に利益を分配できるというメリットがあります。そのため、共同事業や異業種連携による事業の場合には、合同会社が適しているといえるでしょう。
4.夫婦や親子での起業
夫婦や親子で起業する場合にも、合同会社がおすすめです。例えば、夫婦や親子でカフェ・居酒屋・パン屋・美容院といった事業をする場合には、合同会社であれば、初期費用や運営コストも安く抑えられ、色々な費用を経費として計上することができるため節税効果も期待できます。そのため、夫婦や親子での起業の場合には、合同会社が適しているといえるでしょう。
5.シニア起業や副業にも
シニアが起業する場合や副業にも、合同会社がおすすめです。素早く法人化できて、しかも初期費用・ランニングコストが安く抑えられるため、シニア起業や副業がある方にもおすすめです。法人化することで、色々な費用を経費として計上することができるため節税効果も期待できます。そのため、シニア起業や副業をされている方にも合同会社が適しているといえるでしょう。
まとめ
法人格取得だけが目的であれば、合同会社で十分間にあうのではないでしょうか。
事業が小さい間は合同会社ですすめて、大きくなってきたときに株式会社に組織を変更するという考え方もありますし、どうせ大きくしていくのだから初めから株式会社でいこうという考え方もあるでしょう。
株式会社にするのか合同会社にするのか、どちらで起業にするにしてもメリット・デメリットがあるため、会社を設立する際には、慎重に検討するようにしましょう。