奈良県香芝市の司法書士松井です。

先日(平成30年7月6日)、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」が参院本会議で可決、成立しました。

相続の仕組みが大幅に変更されるのは約40年ぶりのことで、今回の改正は現在日本が抱えている高齢化社会という問題に対応できるようにと検討されたものとなっています。

今日は、改正の中でも特に重要な「配偶者居住権」(民法1028条)について説明したいと思います。

はじめに

相続登記のご依頼をうける際に、よく受ける相談に「不動産の名義は誰の名義に変更にすればいいですか?」というものがあります。

もちろん、最終的には、依頼者に決定して頂くのですが、その中で依頼者がよく言われることが、「子供の名義にすると、私が死亡したときにはもう一度相続する必要がない。でも、子供の名義にしてしまうと子供の嫁に家から追い出されるのではないか・・・。なので、今回は私の名義にしておきます。」というものです。

実際に所有権が息子にあるからと言って息子が親を追い出すようなことがあるのだろうか思ってしまいますが、権利意識が高まっている現在親子間での少しのボタン掛け違いによりこのようなことがあってもなんらおかしくありません・・・。

また、相続財産が不動産とわずかな預貯金の場合に、配偶者がその不動産を相続してしまうと他の相続人の相続分が預貯金だけでは足りず、やむなくその不動産を売却することとなり、配偶者は住み慣れた家を追われるといった事案があります。

このようなことから、今回配偶者が長年住み慣れた自宅に安心して住み続けられる制度として「配偶者居住権」という権利が新たに創設されることになりました。

配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは、「被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人が所有する建物に居住していた場合、その居住していた建物(居住建物)の全部を無償で使用及び収益をすることができる権利」のことをいいます。

配偶者居住権を取得するには?

被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人が所有する建物に居住していた場合において、下記の要件をみたすときに「配偶者居住権」を取得することができます。(民法1028条1項)

(1)遺産分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。(同①)
(2)配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。(同②)

審判による配偶者居住権の取得

また、遺産分割や遺言が以外にも、家庭裁判所が、以下の場合に限り配偶者が配偶者居住権を取得する旨の審判を出してくれる場合があります。(民法1029条)

(1)共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
(2)①配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する申出をした場合で、
   ②居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき。

配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は、原則配偶者が死亡するまでです。(民法1030条)
但し、遺産分割協議(又は審判)若しくは遺言に別段の定めがあるときは、その定めによります。

配偶者居住権の登記

たとえ遺産分割協議(又は審判)や遺贈により配偶者が配偶者居住権を取得したとしても、それだけでは他の第三者には配偶者居住権が設定されているかどうかは分かりません。そのため、配偶者が配偶者居住権の成立を第三者に対して主張できるようにするために、配偶者居住権の設定登記が新たに追加されました。(不動産登記法3条)(民法1031条2項(不動産賃貸借の対抗力準用))

居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対して、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負い(民法1031条)、配偶者から配偶者居住権設定登記をする旨の申出があれば必ず登記に協力しなければいけないということになります。

配偶者居住権の効力

1.配偶者居住権者は、存続期間中、居住建物を無償で使用収益することができます。(民法1028条)
2.配偶者居住権者は、居住建物の所有者に対して、「配偶者居住権」の登記を請求できます。(民法1031条)
3.配偶者居住権の登記をした場合には、第三者に配偶者居住権を主張できます。(民法1031条2項)
4.配偶者居住権は、譲渡することができません。(民法1032条2項)

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