令和6年4月1日から相続登記が義務化になります。

民法大改正相続②(自筆証書遺言)

奈良県香芝市の司法書士松井です。

今回は前回に引き続き、平成30年7月6日に可決成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」の中で「自筆証書遺言の改正について」です。

遺言を作成の方法には、大きく分けて2つの方法があります。

1つは「公正証書遺言」と、もう1つは「自筆証書遺言」です。その他にも作成する方法はあるのですが、一般的に利用されているのは、この2つの方法です。

公正証書遺言」は、名前からも分かるように公証役場で公証人が作成する遺言のことを言います。
自筆証書遺言」は、公正証書遺言と違い自筆(自署)で手軽に作成できる遺言のことを言います。

「公正証書遺言」により作成しても、「自筆証書遺言」により作成しても、もちろん遺言の効力には全く違いはありません。

この2つの作成方法にはどのような違いがあるのかというと、「公正証書遺言」は公証役場で公証人が作成し、「自筆証書遺言」は遺言者本人が作成するというところに大きな違いがあります。

では、この違いによりどのような影響があるのかというと、

1.「公正証書遺言」は公証人がきちんと本人から遺言の内容を聞き取り作成するため遺言を作成するための要件不備や記載ミスといったことはほぼありません。しかし「自筆証書遺言」の場合、遺言者本人が作成するため手軽に遺言書を作成できる一方、なかには法律について詳しくない方もおられるため自筆証書遺言作成の要件を具備していないことや、内容や記載をミスすることがあります。この場合、せっかく作成した遺言も無効になる可能性がありますし、内容や記載のミス(住所や氏名の書き間違い等)により最悪遺言書による手続自体ができないということにもなりかねません。

2.「公正証書遺言」は、遺言者本人が110歳程度になるまで公証役場が遺言書を保管し、遺言書をなくしたとしても再発行してもらえます。しかし、「自筆証書遺言」の場合、遺言者本人がどこでも手軽に作成できるため、遺言書自体を紛失する可能性があり、また相続人が遺言書を発見できないといったことが起こります。

今回の改正点

1.一部要件緩和

これまで、全ての内容を自署しなければいけなかったのですが、今回の改正により特に記載ミスにつながることが多い財産目録をパソコン等で作成し添付することが可能になりました。(民法968条2項)

2.法務局への保管

民法の改正と同時に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が作られ、法務局に遺言書を保管できるようになりました。これにより、遺言書の紛失の心配がなくなり、また預ける際に一定の確認を行ってくれるため、要件不備によって遺言が無効となることを防げるということです。

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