令和6年4月1日から相続登記が義務化になります。

管轄外本店移転の登記申請における「登記すべき事項」の簡略化について

目次

管轄外本店移転の申請方法

本店を他の登記所の管轄区域内に移転する場合、旧所在地にかかる本店移転の申請と新所在地にかかる本店移転の申請については、同時に申請する必要があり、また新所在地にかかる本店移転の申請については、旧所在地を管轄する登記所を経由して申請する必要があります。

旧所在地においては移転の登記をし(原則、登記簿は閉鎖される。)、新所在地においては設立登記を同一の登記事項を登記する必要があります。これは、新所在地において新たな登記簿を作成するためです。

新本店所在地でする登記の「登記すべき事項」について

上記のように、新本店所在地でする登記申請書の「登記すべき事項」の記載については、原則、会社を設立する際と同様に現在旧本店所在地で登記されている全ての事項とその他に本店移転の旨を記載する必要があります。

ここで問題になるのが、「目的」が20個も30個もある会社です。5個くらいであれば、すぐに入力できるのですが、20個も30個ともなると・・・。更に1つの目的がものすごく長い場合、目的を入力するだけでも一苦労です・・・。

そこで、

平成19年11月12日法務省民商第2451号法務省民事局商事課長通知

本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請において、申請書に記載すべき登記すべき事項については、商業登記法第53条に規定する事項(ただし、「会社の成立年月日」を除く。)の除き、「別添登記事項証明書のとおり」と記載し、当該登記事項証明書と申請書とを契印する取り扱いとして差し支えない。また、登記事項証明書の記載内容を引用する方法によるほか、登記情報提供サービスの記載内容を引用する方法によることとしても差し支えない。

という通知が出されました。

※商業登記法第53条 新所在地における登記においては、会社成立の年月日並びに本店を移転した旨及びその年月日をも登記しなければならない。

ただし、このような取り扱いができるのは、本店移転のみを申請する場合だけであり、本店移転と同時に役員変更や目的変更等をする必要がある場合には、この取り扱いをすることはできません。なぜなら、本店移転の際に登記事項証明書に記載されている役員や目的等に変更があるために、登記事項証明書のとおりとしてしまうと役員や目的が変更前の状態を意味してしまうからです。

本店移転と同時に他の事項も変更する必要がある場合が多いために、この取り扱いを利用することができず、結局いままでどおり、全ての事項を登記すべき事項欄に記載する必要がありました・・・

平成29年7月6日法務省民商第111号法務省民事局商事課長通知

新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならず、申請人の会社法人等番号は、新所在地を管轄する登記所の登記官においても明らかであるところ、商業登記法第19条の3の趣旨に鑑みると、新所在地における登記の申請書には、登記すべき事項として、同法53条に規定する事項(ただし、「会社の成立年月日」を除く。)の記載があれば足り、その他の事項の記載を省略しても差し支えない。

という通知が出されました。

商業登記法第19条の3 この法律の規定により登記の申請書に添付しなければならないとされている登記事項証明書は、申請書に会社法人等番号を記載した場合その他の法務省令で定める場合には、添付することを要しない。

「登記すべき事項」欄の記載方法

「登記すべき事項」令和○年○月○日□□□□から本店移転

とすればよくなり、かなり簡略化されることとなりました。

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